2月16日(金)に、本学学生及び教職員を対象とした「大学人のスタートアップ講座」を、オンラインで開催した。
本講座は、2022年度に開催し好評を博したセミナーの第2弾として、引き続き本所国際・産学連携室が主体となり実施した。起業の検討を始める第一歩として、学内規定や手続き、支援リソース、身近な起業経験者の体験談を交えた前回の内容に続き、今回は、スタートアップに投資するベンチャーキャピタルから講師を招き、教員・研究者にとっての起業の魅力や留意しなければならない点、教員・研究者に期待すること等、投資家の観点からのアドバイスをテーマとした。
当日は、国際・産学連携室 中埜 良昭 教授が司会を務め、本所 岡部 徹 所長の開講挨拶の後、数多くの大学発スタートアップを支援してこられたANRI株式会社 鮫島 昌弘 ジェネラルパートナーと、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)長坂 秀樹 パートナーより、具体的な事例を交えてご講演いただいた。学術研究の成果を商業的な価値に変換するためには研究者がマインドセットを変えることが重要であり、また、多くの研究者が自身の技術を広範な分野に応用できると考えがちになる中、特に起業を志す初期段階では、特定の市場ニーズに集中する必要があること、さらに、研究者は全てを一人でこなそうとする傾向があり、成功するためには優れた経営チームを組成することが鍵となること等が強調された。アカデミアの研究者による具体的な成功例・失敗例を例に挙げながら、大変刺激的なお話をいただいた。また、各々の学術研究の成果にどのような事業価値の可能性があるか、検討の初期段階から、経営人材についての相談を含め、遠慮することなくベンチャーキャピタルに気軽に相談してほしいという心強いアドバイスもいただいた。
質疑応答セッションでは、本所の教員や学生から活発に質問が飛び出し、講演者と共に有意義なディスカッションが行われた。とりわけ、皆が疑問に思いながらもなかなか聞くことのできない質問にも、講演者から丁寧にご回答いただくことができ、他の同種のものと比べて、異彩を放つイベントとなった。
本講座は、当日の参加者と後日の所内限定配信で、のべ130名以上の視聴があり、参加者によるアンケート回答結果から、本講座が満足度の高い内容であったことが分かった。
最後に、貴重な時間を割いてご講演いただいた鮫島氏と長坂氏に対し、心より感謝の意を表するものである。両氏からの実践的かつ示唆に富んだご講演は、教職員や学生の起業への関心を高め、具体的なアクションへの契機となりうる貴重な機会となったことを願う。
(国際・産学連携室 次長・教授 合田 和生、高度学術員 入江 由里子)
鮫島ジェネラルパートナーと長坂パートナーによる講演
大学人のスタートアップ講座vol.2ポスター