ニュース
ニュース
トピックス
【報告】ASUとの学術連携:新たなステージへ――ワークショップ開催および工学研究科長来訪

 5月末から6月中旬にかけて、本所とアリゾナ州立大学(Arizona State University:ASU)の間で、学術連携と技術協力の深化を目指した重要なイベントが連続して開催されました。アリゾナでのワークショップ開催およびASU工学研究科長の本所訪問という両国でのイベントは、本所とASUの連携を新たなステージへと押し上げるものとなりました。

 まず、5月30日(木)にアリゾナ州フェニックスで、次世代モビリティに関するワークショップ「Fusion of Ideas Workshop: Pioneering Global Technology Partnerships Between Japan and Arizona」が開催されました。このワークショップは、本所 次世代モビリティ研究センター(ITSセンター)、ASU、アリゾナ商工局(Arizona Commerce Authority:ACA)、および同付属 自動運転モビリティ研究機構(Institute of Automated Mobility:IAM)の共催により実施され、本所 本間 裕大 准教授、ASUのXuesong Zhou教授、IAMのMarisa Walker氏が共同オーガナイザーとして企画・調整にあたりました。

 ワークショップの目的は、特に自動運転と低炭素モビリティという二つの観点から、日米間の先端技術および学術的連携を推進することです。両国の専門家や研究者、約40名が集まり、最新の技術動向について意見交換が行われました。本学 モビリティ・イノベーション連携研究機構の須田 義大 機構長・教授が、「東京大学における次世代モビリティの取り組みと国際協力」というテーマで基調講演を行い、千葉県柏市での自動運転バス実験や国際連携プロジェクトの事例を紹介しながら、鉄道分野における技術革新も含めた新しい学術モデルの在り方を提言されました。その後、日米間のさらなる国際協力の展望をテーマに、ラウンドテーブル形式のディスカッションが行われました。アリゾナ州は、自動運転技術の開発と社会実装が最も進んでいる地域の一つであり、日本も学ぶべき点が多いと考えられます。一方で、日本は鉄道技術や安全性に関する豊富な知見を提供でき、相互に学び合う機会が期待されます。特に、技術革新と公私連携が持続可能な未来社会にどのように寄与できるかについて深い議論が交わされ、参加者たちは具体的な実践方法についても洞察を共有しました。

 2週間後の6月13日(木)、ASUのKyle D. Squires工学研究科長・教授(Dean of the Ira A. Fulton Schools of Engineering)が本所を来訪されました。この訪問は、ワークショップでの議論をさらに具体化し、本所とASUとの協力を一層深めるための重要な機会となりました。

 まず、Squires工学研究科長はITSセンターの実験室や、長谷川 洋介 教授、山川 雄司 准教授の研究室を訪れ、ドライビングシミュレータや流体実験、高速ロボットなどを実際に体験し、研究者同士による活発な議論が行われました。続いて、Squires工学研究科長は本所 年吉 洋 所長を表敬訪問し、ITSセンターから大口 敬 センター長・教授、中野 公彦 副センター長・教授、平岩 洋三 准教授、本間准教授が同席しました。年吉所長は、本所が進行中の国際連携プロジェクトや国際教育プログラムについて詳しく説明されました。Squires工学研究科長は、ASUが特にイノベーションやサステナビリティの分野で全米をリードしていることを強調し、最先端の研究成果を紹介されました。ITSセンター関連のプロジェクトについても紹介がなされ、両大学の理解と研究連携が一層深まり、さまざまな共同プロジェクトの具体的な方向性が見えてきました。Squires工学研究科長は、今後の連携に対する強い期待を表明し、双方の研究者たちが今後も密接に協力していくことを確認しました。

 現在、本所とASU工学研究科との間でMemorandum of Understanding (MoU)の締結に向けて調整が進められています。今後、本所とASUの連携により、特に自動運転技術、低炭素モビリティ、サステナブル社会などの分野でさらなる革新を生み出されるとともに、日米間の学術・技術交流が一層深化し、次世代の研究者育成にも貢献することが期待されます。

 (次世代モビリティ研究センター 准教授 本間 裕大)

画像1.png
左から、須田機構長による基調講演、ワークショップ開催を記念してのバナー交換、ワークショップ会場の様子

画像2.png
左から、流体実験設備を見学されるSquires工学研究科長、高速ロボットを体験されるSquires工学研究科長、Squires工学研究科長の所長室の表敬訪問 左より平岩准教授、本間准教授、Squires工学研究科長、年吉所長、大口教授

月別アーカイブ