2024年度より、本所 次世代育成オフィス(ONG)と大日本印刷株式会社(DNP)は、本所の高度な教育力及び研究力を活用した教育連携事業として、新たなSTEAM型教育プログラムをスタートした。本プログラムは、講師による講演と、参加型ワークショップでの様々な気付きを通じて、人と社会をつなぐ新しい価値を創造するために、人の多様性を理解し共感する心を育むことを重視することを目的として構成している。この事業の一環として、7月30日(火) 、8月22日(木)、9月21日(土)の全3日間に渡り、本所およびDNPにおいて、『「人」を考える デザイン思考でユニバーサルデザインを考えてみよう!』をテーマに、STEAM型の次世代育成ワークショップを開催、関東近郊の高等学校4校から代表して18名が参加した。今回は、ユニバーサルデザイン(UD)を身近に引き寄せてとらえることを問いの起点として、デザイン思考を用いた。問いを生み出し答えを模索する過程を重視し、ONGが開発した「探究学習デザインメソッド」を使用しながら、4つのセッションに分けて展開した。
セッション①(本所 ホワイエで開催)では、ONGのメソッド及び教材を使用した各グループのチームビルディングからスタートした。続くセッション②(本所 ホワイエで開催)では、本学 先端科学技術研究センターの熊谷 晋一郎 教授と、ユニバーサルデザインコーディネーターとして活動されているGRIC(グリック)の高橋 純也 代表を迎え、当事者講演・疑似体験を通じ、ユニバーサルデザインを自分事化するワークを行った。セッション③(DNP本社で開催)では、個々が見つけた社会課題をユニバーサルデザインの視点から解決するアイデア創出を行った。セッション④(DNPプラザで開催)では、これまでに考えた案を全体で共有・改善案の再検討を行い、互いに意見を出してまとめていった。
また、本プログラムでは、各校それぞれに、次世代の教育活動に興味を持つ本学TA(Teaching Assistant)及びDNP社員を、生徒たちの学習に伴走するメンターとして配置、生徒たちの学びに新たな視点を提供し、議論や活動に深みを加えた。生徒からは、「自分たちで社会課題を見つけてアイデアを形にする経験が初めてであり、とても貴重な時間で楽しかった」「UDの考え方、社会問題とその解決方法、身近なこととの関連性、アイデアの出し方や考え方など、多くのことを学ぶことができた。」との声が寄せられ、この経験を次に生かしていきたいと話し合っていた。
ONGでは、今後もDNPと教育分野に関わる企業参画の意義を高め、ともにSTEAM型教育を推進していく持続可能で効果的な設計をめざし、初等中等教育学校への展開を見据えたプログラムの開発を継続していく予定である。ご協力いただいたDNP社員の皆様、ご支援いただいた登壇者、ご参加いただいた各高校の生徒及び教員の皆様に、心より感謝申し上げる。
(次世代育成オフィス 室長・教授 大島 まり、学術専門職員 上田 史恵)
左から、本所での講演の様子、グループで熱心に話し合う様子、探究学習デザインメソッドを使用する様子
左から、DNP本社にて発表する様子、本所TAとDNPメンターと取り組む様子、DNPプラザにて発表する様子